展示紹介「帰依法境」/僧と掃除

kiehokyo

帰依法境

朝霧に包まれた山寺の空気感が素晴らしい絵ですが、この絵の主人公は大きな箒きを持った小僧さんです。
僧が掃除をすることは昔から大切な修行だったようです。

よく知られた仏教説話に「チューラ・パンタカ(周利槃特)」の話が有ります。
『釈迦の弟子のチューラ・パンタカは、物覚えがとても悪く愚か者と言われていました。
ある時兄から「もう修行は無理だ家に帰れ」と言われ途方に暮れたたずんでいました。
その時釈迦がやって来てチューラ・パンタカを励まし一本の 箒 を授けて「塵を払い、垢を除く」唱えながら掃除するように教えます。
一心に掃除を続けやがて塵や垢を除くとは心の三毒を除く事だと気付きます。
三毒とは「むさぼり」「いかり」「おろかさ」です。無駄にほしがり、その為に怒り嫉み、それを満足させることが幸せだと思っている愚かさです。
これらを除くことが苦しみから逃れることだと気づき、やがて覚りを得、十六羅漢の一人に列せられます。』

この話は釈迦が言いたかったことをかなり良く表していると思います。
作家は僧が掃除をしている姿を他にも描いています。おそらくこの話は意識していたでしょう。