靑山讃頌舎2019年春展「穐月明 可愛い絵・楽しい絵」は終了しました

穐月明は難しい本を沢山読んでいましたが、難しい絵を描いていたわけではありません。動物や絵本など可愛い物が大好きでした。また、真面目そうな絵でもちょっとユーモラスな人物や動物が入っていたりします。そんな楽しい、可愛い、めでたい絵を集めた気楽に楽しんで頂ける展示です。

【企画展開催日】

開館日:3月2日~6月23日
土日祭日開館、平日予約
時 間:午前10時~午後5時(入館は4:30まで)入館無料

【基調講演「穐月明という画家ーその仕事と生涯ー」】

講師:靑山讃頌舎 理事長 穐月大介
日時:3月10日(日)13:30〜15:00
場所:靑山讃頌舎

【GW塗絵コーナー(穐月明 おとぎ話の世界)】

日時:4月27日(土)〜5月6日
場所:靑山讃頌舎


展示紹介
 風塵雷神
穐月明「風塵雷神」

穐月明「風塵雷神」

此の風神雷神は俵屋宗達をリスペクトしての作品でしょう。風のように素早く、雷のように激しいと書かれていますが、雲の上で悪戯小僧がはしゃいでいるようです。

 萩と猫
穐月明「萩と猫」

穐月明「萩と猫」

穐月明は動物が大好きでした。特に伊賀に来てからは猫が何時も傍らにおり、猫をたくさん描いています。絵を見れば猫に対する愛情が伝わってきます。

 懶瓉煨芋
穐月明「懶瓉煨芋」

穐月明「懶瓉煨芋」

「懶瓚(らんさん)和尚の焼き芋」という話です。
禅問答集に載っている話ですが笑ってしましいます。

懶瓚(らんさん)和尚は衡山(こうざん)石室の中に隠居していました。唐の徳宗(とくそう)は其の名を聞いて、使を遣わし之れを召します。使者は其の石室にやって来て宣言します。
「天子の詔である、尊者はすぐに都に行って恩に応えよ」
瓚和尚はまさに牛糞の火をはらって、焼芋を掘り出して食べようとしているところで、鼻水を顎まで垂らしたまま何も答えようとしません。使者は笑って言います。
「ともかく、尊者、鼻を拭ってはどうですか」
瓚和尚は答えて、
「何でわしがわざわざ俗人の為に鼻を拭うような手間を掛けねばならんのかね」
といって、ついにお召しに応じなかった。 碧巌集

痛快な方です。報告を聞いた皇帝もため息をつきながらもこれを許します。

 松下亀
穐月明「松下亀」

穐月明「松下亀」

猫や亀の他にも色々な動物が登場します。動物が大好きでした。

 節分/七福神
穐月明「節分」

穐月明「節分」

この絵は大津絵に取材しています。鬼が豆をまき大黒が逃げていますがなんだか楽しそうです。賛は「われという心の鬼がつのりなば何とて福は内にいるべき」

 福神嬉戯屏風
穐月明「福神嬉戯屏風」

穐月明「福神嬉戯屏風」

七福神全員集合です。福禄寿が廻しを取り大黒天が内掛けを仕掛け布袋が行事をしています。古来相撲は神事ですが、どちらが勝ても福の神、目出度いのです。

 二躰佛
穐月明「二躰佛」

穐月明「二躰佛」

「野の佛」のシリーズは可愛いのでとても人気がありました。

 御伽草子・一寸法師
穐月明「御伽草子・一寸法師」

穐月明「御伽草子・一寸法師」

お伽噺を題材にした絵もたくさん描いています。

 招福
穐月明「招福」

穐月明「招福」

招き猫は商売繁盛の縁起物、でも眼が笑ってないのは欲張りすぎるなよ、と言う意味でしょうか。

 喫茶去
穐月明「喫茶去」

穐月明「喫茶去」

これも禅問答集の噺です。
禅問答は敢えて意味不明なことを言いますが、これはとてもユーモラスな話です。

趙州(じょうしゅう)和尚は、新に訪ねて来た修行僧に「ここに来たことはあるかね」と尋ねます。
僧「来たことがございます」
趙州「喫茶去(お茶でもおあがり)」
また、あるときには、訪ねて来た別の修行僧にも尋ねます。
僧「いいえ、来たことはございません」
趙州「喫茶去」
この様子を見ていたお寺の院主が、趙州和尚に尋ねます。
院主「どうして、来たことがある人にも、はじめて来た人にも、喫茶去、というのですか?」
すると、趙州は「院主さん!」と声を掛け、院主も答えて「はいっ!」
趙州「喫茶去」
五燈会元

さて、「喫茶去」にはどういう意味があるのでしょうか?
まあ、お茶でもおあがりください。