「美の視点」展示紹介/ラストエンペラーの書

清朝最後の皇帝溥儀の書

映画「ラストエンペラー」の主人公 愛新覚羅溥儀の書です。大きさは174✕57cmの堂々としたものです。

同封の資料と書付
同封の資料と書付

箱に同封されていた資料と明(あきら)の書付からこれが乃木神社の扁額のために貴志将軍(貴志弥次郎中将)が収めたらしいことが分かります。この頃、溥儀は日本の傀儡国家満州国の皇帝だったようです。
書の「偉烈純忠」は偉大な功績と一途な忠義、乃木大将を称える言葉として選ばれたのでしょう。

粛親王の書

溥儀の書と一緒ん入っていた粛親王の書です。貴志中佐宛ですが、貴志中佐は貴志弥次郎でしょう。粛親王は清朝の皇族で愛新覚羅善耆(ぜんき)、満州国建国に奔走した方です。また、男装の麗人として有名な川島芳子の実父でもあり、満州独立運動の先駆者川島 浪速とは義兄弟です。粛親王は日本陸軍の貴志弥次郎、川島浪速たちと独立運動を実行しようとしました。
書は老師の言葉「この世の柔軟な物は堅固な物を思い通りにする。また形の無いものだけがわずかな隙間に入る事が出来る。私はこの事によって無為である事の有益さを知る。言葉に頼らぬ無言の教えと、無為である有益さに匹敵するものは、この世にはほとんど無い」

于右任「敬天愛人」

于右任の書です。穐月明は日本で初めて于右任を発見したコレクターと言えます。台湾旅行の折、骨董屋にかかっていた字だけを見て惚れ込み収集をはじめました。その時「うぶだな―、純だな―」とつぶやいたといいます。今や于右任は中国で大変高い評価を受ける書家で国立故宮博物院でも展覧会が開かれています。

その于右任は清朝を倒した辛亥革命の指導者の一人なのです。
書は「敬天愛人」西郷隆盛が好んだ言葉です。于右任は日本にも来ていますので西郷にも影響を受けたのでしょう。

この展示を調べていると清朝を倒した革命家、その中国清朝の皇帝、皇帝を支え満州国建設を目指した貴族、それを操ろうとする日本軍部と大陸浪人の歴史が垣間見えます。

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