夏の通常展「石仏の画家 穐月明」は終了しました

2022年 6/3㊎~8/22㊊ 火曜休館

人と自然に寄り添う仏
水墨画家 穐月 明の代表作と言えば石仏を描いた「野の仏」のシリーズです。若い頃より晩年まで描き継がれたこのシリーズは一貫して野に佇みながら優しく微笑む仏の姿を描いています。
そこには、仏は遠くにあって崇めるものではなく、身近にあって救って下さるもの、仏教は山野で修行し衆生を救うのが本来の姿だ、という作者の思いが込められているようです。
本展では初期から晩年までの「野の仏」のシリーズ作品と、そこに石仏が佇んでいるような里山の作品を展示いたします。
夏のひと時を、涼しいミュージアムで優しい時間をお過ごしください。

石仏はよくお地蔵さんと呼ばれます。しかし、地蔵菩薩を彫った物ばかりではなく、阿弥陀如来、三十三観音、不動明王、青面金剛、道祖神など実に様々です。本展では作品の石仏が何の仏かも解説しています。道で見かけた石仏も手や頭、衣装などを見ればどんな仏を彫った石仏か分かってきます。石仏に興味を持っていただける機会になれば幸いです。

観覧料 一般300円高校生以下無料
住 所 伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 〒518-0221三重県伊賀市別府718-3

現地案内「阿保の石仏を訪ねる」

当館から出発し寺脇の宝厳寺まで石像彫刻を訪ねながら散策します。宝厳寺で石仏と重要文化財十一面観音を拝観します。

案内 学芸員 穐月大介
6月 18日㊏ 13:00〜 当館より出発
*要予約 定員10名、歩きやすい靴、飲み物
[申込受付/お問合せ] 青山ホール ☎0595 52 1109
宝厳寺石仏群

館内案内「青山讃頌舎の石仏と石像」

展示案内と青山讃頌舎内のあちこちに有る石仏、石像彫刻を解説します。

案内 学芸員 穐月大介
毎週日曜 13:30〜 当館展示室 *先着15名
茶室庭園内「誕生仏」

■ ワークショップ・夏休みの工作「飛ぶおもちゃを作る」

タケトンボ、紙飛行機、よし鉄砲など作り方を解説しながらオリジナルのおもちゃを一緒に作ります。

アドバイザー 東洋文化資料館 靑山讃頌舎 スタッフ
7月30日㊏ ①10:00〜、②13:00〜 当館展示室中庭
*要予約 定員10名(小学生以上)、 ハサミ・カッター・定規 持参
[申込受付/お問合せ] 青山ホール ☎0595 52 1109 
6月25日(土)午前10時から

紙飛行機と竹蜻蛉はこのワークショップのために設計・デザインしたオリジナルの作品です。簡単に作れて、良く飛び色々な工夫ができます。

展 示 紹 介

穐月明「水辺の二躰仏」

穐月明「水辺の二躰仏」
この「野の仏」は丸顔で切長の目をして優しく微笑んだ晩年の完成された野の仏です。しかも背景の夏の太陽が照りつける岩や冷たく澄んだな谷川の水などは秀逸で力作です。夏の太陽の下でも涼しげに座る仏、涼しいとは悟りの境地を表す言葉でもあります。
右の仏は頭が二段になっているので肉髻のある如来で釈迦のようです。左は僧形の地蔵菩薩でしょう。


穐月明「海辺の二躰佛」

穐月明「海辺の二躰佛」
あまり輪郭を強調しない描き方で顔も少し澄ましています。60代の作品です。猛烈な荒波を背景に佇む仏は何か苦難を乗り越えた様な印象を受けます。穐月明は60代になって胃がんの大手術を受けています。
「水辺の二躰仏」と似ていますが左右とも僧形で地蔵菩薩です。


穐月明「石仏観音立像」

穐月明「石仏観音立像
初期の作品はできるだけ輪郭を排した書き方をしています。40代自分なりの表現ができる紙や墨を探していた時期でしょう。構図も斜めから描く試みをしています。素朴な表現ながら作品に対する思いが感じられます。この頃から「野の仏」は人気を得ていきます。
水瓶を持ち化仏を頂く菩薩ですので観音です。


穐月明「磨崖孔雀明王」

穐月明「磨崖孔雀明王」
40代はまだ京都で活動活動しており、これは40代前半の作品です。輪郭をほぼ用いない画法は油彩を学んでいたからでしょう。
孔雀明王は孔雀に乗り明王なのに優しい顔をしています。


穐月明「星天流水」

穐月明「星天流水」
星降る田舎道の少し怖くて美しい光景です。この道は山村へと続きこういった所にはよく石仏が置かれています。
石仏が置かれているような里山の風景作品も展示しています。


中国随代如来三尊仏巌・大業三年銘

中国随代「如来三尊仏巌
銘に大業・・・阿弥陀像一區と有ります。大業は隋代の年号です。手の印も持物もハッキリ分かりませんが阿弥陀三尊でしょう。石仏がどんな仏かは持ち物や手の格好、髪型、衣装、銘が手がかりになります。


穐月明「野の仏・阿弥陀如来」

穐月明「野の仏・阿弥陀如来」
見返り阿弥陀は京都 永観堂が有名です。夜の月の様に浄土への道を照らして付いて来る者を振り返っているような阿弥陀如来です。最晩年の作と思われ、絵本のような雰囲気でずっとこういうほんわかしたものが描きたかったのかもしれません。
阿弥陀印をむすび阿弥陀光背を背負っています。