展示紹介「想い出、喧嘩両成敗」穐月明の素描
穐月明と言えば地蔵菩薩。これは手紙や挨拶文にちょっと添える素描の地蔵菩薩です。
穐月明作品の特色は水墨画を線より面主体に描くのですが、素描は線主体でサッと描きます。
素描は文字と共に描かれることが多く俳句と共に描かれるとちょっとユーモラスな俳画になります。
「軒の梅 佇めば犬の 吠えにける」
江戸時代中期の俳人高桑闌更(たかくわらんこう)の句です。
是れは元禄の俗謡です。
「いつも3月花の頃
女房十八わたしは二十
使って減らない金百両
死んでも命があるように」
どんなにえらそうなことを言っていても是れが万民の願いなので笑ってしまいます。
残念ながらどれ一つとして叶えることはできませんが。
「想い出、喧嘩両成敗」は厳密には素描では無いかもしれませんが、素描の手法で描かれています。
とてもプライベートな作品で自分自身の子供の頃の想い出のようです。
夕食時裸足で表に立たされて泣いている男の子が作家本人です。立たされてもふんぞり返ってるのがお姉さん。右の障子の着物を着た影がおばあさんで「もうそろそろ入れてあげたら」と言っているのでしょうか。左の影がお母さんで厳しい方だったそうです。真ん中の二人はお兄さんです。
家族の会話が聞こえてきそうな楽しい絵です。この中でお姉さんはまだ御健在です。
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