2017年企画展「穐月明・春展ー里の歌・旅の歌-」終了
2017年2月11日より5月28日まで企画展「穐月明・春展ー里の歌・旅の歌-」を開催致しました。
前回秋の開館では穐月明の思想的柱である仏教を中心とする祈りの世界にスポットを当てました。
一方穐月明が最も愛したのは自然の美しさです。華美な花より野の花を愛し、みじかな三重や伊賀の自然を何時も美しいと言っていました。今回の展示では身近な草花や静物そして村や自然の風景を中心に展示します。みじかな日常から旅に出この伊賀の地に戻ってくる、どこか懐かしい旅を楽しんで頂けましたら幸いです。
*今回まちかど博物館「錦絵館 野がけ」さんより資料を提供していただきました。
今回のテーマは旅です。
「鉢中の天」のシリーズの中でも最もシンプルな一点ですが、澄んだ水そのものを感じさせます。
→作品紹介「鉢中の白椿」へ
→作品紹介「鉢中の天」へ
本来四君子とは「蘭」「菊」「竹」「梅」を言います。
しかしこの絵では「椿」「松」「竹」「梅」です。これは穐月明の四君子なのです。
賛は禅語です。
春は花、秋は葉、雲は騰り
鳥は飛ぶ、皆吾蔵中にあり
虚堂
今年は美術館「日月舎」にお雛様を飾りました。江戸時代のひな人形で享保雛です。
旧暦の雛祭り(3/30)まで展示の予定です。
→展示紹介「ちょっと懐かしい物も展示しました」へ
画家は路傍の石仏をずっと描き続けていました。
タイトルの青山には青々とした山々という意味に、
青山という地域名を掛けているようです。
→展示紹介「青山流水」へ
画家は晩年風景画に最も思い入れがあったようです。
自身の作品展「流水頌歌」で画家は風景作品に込めた思いを挨拶文に書いています。以下に全文を掲載致します。
流水頌歌
川の源流から、人の生活する村・街を経て河口までたどってみると人間と自然や生き物との交流(かかわり)の虚偽(うそ)や眞実(まこと)や祈りが隠す所無く見えて来ます。
逝く者は斯くの如きか、夫れ昼夜を舍(す)てず、と古人も申された様に流水も人の一生も全て大海原(うみ)へと流れ去ります。或る時は無上のやさしさと安らぎと悠々たる大らかな楽しさを。又或る時はきびしさと無常を感じさせ乍(なが)ら、其れも皆大海原で雲となり風に運ばれ雨となり川となり流れて逝きます。この生き方こそ自然さでこの調和に逆らえば不自然で人自身へと返って来る。この眞実(まこと)の法(おしえ)に帰依し称(たた)へる頌歌(うた)を墨と筆に託しました。
穐月明