靑山讃頌舎 2018年春期企画展「穐月明回顧展・旅の記憶」は終了致しました
靑山讃頌舎 2018年春期企画展「穐月明回顧展・旅の記憶」は終了致しました
穐月明回顧展は好評の内に終了致しました。ご来館下さいました皆様、ご指導下さいました皆様本当に有難うございました。次回企画展は9月頃の予定です、ご期待ください。
靑山讃頌舎 2018年春期企画展
「穐月明回顧展・旅の記憶」
企画展開催日
開館日:3月3日~6月30日の土日祭日開館
穐月明は愛らしい野仏や見事な椿で全国的に知られる日本有数の人気作家でしたが、その絵には深い精神性と思いが託されています。今回の企画展はその画業と背景の展望です。
水墨画家 穐月明は昨年4月に 87歳の生涯を閉じました。画家を目指してより画業のみに専心し、その粮とするため膨大な書籍や古美術を集め、日本各地を旅しました。その生き方はかつての文人の生き方を彷彿とさせます。今回の企画展は残されたスケッチ、写真、記録や証言等から可能な限り画業の一覧を試みました。
「野の佛」で人気を博し、各地の画廊やデパートで個展を開き、多くの方々にその作品が愛されました。今回残された作品や記録を整理してみるとその間も実は様々な試みを行い、色々な所で仕事をしていたことが分かります。まだ十分な研究は出来てはいませんが穐月明が生涯を掛けて目指した美と大切にした文化をご理解いただく機会になればと思います。
写真資料:少年時代のの家族写真。
生前明はほとんどプライベートや写真を公開しませんでしたが、今回写真資料も展示致します。
明の詩:京都の醍醐寺に居候していた頃(まだ学生時代でしょうか)の習作でしょう。青年らしい思いが綴られています。今回は初期の習作やスケッチ、色々な資料も展示します。
京都時代の「石仏」です。技法、紙、墨もまだ確立しておらず。試行錯誤している様子がうかがえます。
明は一万四千点以上の書籍を集め資料にしていました。それらの資料から賛(絵に添えられる詩や言葉)になる言葉を抜き出し書きためたり、経典などの資料から白描を描き仏画の下書きにしていたようです。
人気の出始めた頃の作品です。初期中期後期晩年それぞれの作品や資料を展示しています。
全盛期の穐月明です。大変厳しいオーラがありました。
明のコレクション:京都の龍谷ミュージアムで展示されていたガンダーラ半跏思惟像です。半跏思惟像は日本では弥勒菩薩のイメージが強いですが、元々は観音菩薩だったようです。インド、中国、日本それぞれんの仏像を集めていました。
晩年、絵の注文は次第に減って行きますが、自由な時間も増え「流水讃歌」のシリーズなど描きたかったものに挑戦出来るようにもなります。
最晩年は絵が描けなくなりますが最後の仕事は幼稚園の園歌の仕事でした。
85歳の時最後の力を振り絞るように美術館「日月舎」を自宅のとなりに建設、翌年には展覧会を開き自らも挨拶に顔を見せていました。
平成29年2月25日「春の企画展」開催中に脳出血で倒れ同年4月15日に永眠します。その日、見残しの桜が春の嵐で美術館に吹き込んできました。
絵が描けなくなった明は朝から酒を飲むようになりますが、今までになく穏やかに見えました。ようやく一休みできたのかもしれません。
明は仕事が出来なくなっても般若心経の写経だけは続けていました。