歴史・文学講座 「“絵で見る俳句”~芭蕉さんが与えた影響~」
12月5日(木)伊賀市教育委員会青山公民館主催の歴史・文学講座 「“絵で見る俳句”~芭蕉さんが与えた影響~」が当館展示室で開催されました。
当館 靑山讃頌舎・美術館の展示室での講演会は初の試みでした。会場の大きさと形状を考慮して定員を25名程度とし展示室のコーナーにゴザを敷き椅子を並べ小劇場のようなアットホームな雰囲気での講演会となりました。
講師は芭蕉翁記念館学芸員 髙井悠子先生、アートサロン・ムーザ 片山ふえ先生、当館館長 穐月大介のそれぞれがそれぞれの分野の話をしました。
内容は髙井先生が芭蕉が蕉風を確立した後、弟子たちがどのように受け継ぎ、江戸時代を通して芭蕉がどのように評価されていったかをお話しされました。
髙井先生は展示に添い芭蕉やその弟子、その後の蕪村など天明俳諧の俳人についてお話しされましたので、それに対応する穐月明の絵について私が解説しました。
最後に片山先生から芭蕉の俳句を絵にしたロシアの高名な画家マイ・ミトゥーリチ氏の絵を前にして日本とロシアのつながりから芭蕉がいかにロシア人に親しまれ評価されているかについてお話しいただきました。
9月上野ハイトピアの基調講演で髙井先生に「文学を紡ぐ芭蕉–文学史上の功績–」と題しの芭蕉が蕉風俳諧を確立するまでの話しをしていただきましたが、それに繋がるお話しでした。
芭蕉がいかにして日本を代表する俳聖芭蕉になり蕉風が広がったか、それを現代の作家である穐月明がどのように絵にしたか、また芭蕉はいかに国際的に評価されロシアでも親しまれているかを三人の講師が語ると言う芭蕉を軸として時空を越えた講演になりました。
お客さんも熱心に聞いてくださり、講演をした我々も勉強になる楽しい講演会でした。
開催日:2019年(令和元年)12月5日(木)
午前10時30分~正午
会 場:青山讃頌舎・美術館展示室
主 催:伊賀市教育委員会青山公民館
2019年12月7日配信分「歴史文学講座」のなかの俳画及びそのキャプション部分に疑問を
抱きましたのでコメントさせて頂きます。
芭蕉の句「月はやし梢は雨を待ちながら」とありますが、「待ちながら」ではなく
「持ちながら」ではないでしょうか。
当方、この句を詠んだとされる根本寺のある鹿嶋市の隣の市(鉾田市)に在住するもので、
芭蕉の句碑巡りの案内等もしている者です。今後の案内の参考等にすべく、貴団のご意見を
賜りたく存じます。 以上
冨田文博様
当webサイトをご訪問してくださりありがとうござます。ご指摘ありがとうございます。
実は、「絵で観る俳句」展示会では以下のキャプションを掲示していましたが、この記事では絵のキャプションとして讃のまま掲載致しました。
記事に正確さを欠いたことお詫び申し上げ補足説明として以下掲載させていただきます。
【靑山讃頌舎2019年秋展「絵で観る俳句」補足説明】
穐月明「月光雲松」 京都府立山城郷土資料館蔵
*「待ちながら」
賛の句は芭蕉作『鹿島紀行』に
「月はやし梢は雨を持ちながら」
として掲載されています。
月見の時ずっと雨で、やっと月が出てきた状況で詠んだ句として載っているので「持ちながら」となるのです。
しかし芭蕉も一つの句を何度も手直しており、また後世間違えて伝えているものも有ります。
穐月明の見た参照文献に「待ちながら」と有ったのだと思われます。