7月13日■逆柳の甌穴・千方古道ハイキングを開催しました。
伊賀市 ミュージアム青山讚頌舎夏の特別企画「夜の景色/穐月明の月と星と」のイベントとして涼しい「逆柳の甌穴(血首ヶ井戸)」を案内しました。
夏の特別企画「夜の景色/穐月明の月と星と」キャンドルで見る展覧会
午後から雨との予報で出発を高尾床並の「萬松寺」からに変更し「逆柳の甌」を往復しました。
当初の計画の高尾地区市民センターから歩くと7kmのハイキンとなりますが萬松寺からだと半分くらいになります。
砂防堤から谷沿いの道を行きましたが、山道入口に大きな無名の滝が出現していました。雨の季節だけ現れる滝でしょうか。
とても美しい谷川沿いのみちですが、いくつか丸木橋を渡らねばなりません。前日の雨で橋はつるつる滑りちょっとスリリングでした。一週間後7月21日が甌穴祭りなのですがまだ整備をしていないとの事でした。
「斗盛淵」も水量が多くいつもに増して迫力が有りました。
最後の丸木橋は手すりが落ちていました。でも皆さんスリルを楽しんでいるようでした。
ここの谷は室生火山群の火山岩地帯で山全体が溶結凝灰岩で覆われ、川底は一枚岩が削られた様になっています。また岸壁には所々柱状節理が見えます。
いくつも丸木橋を渡り「甌穴(血首ヶ井戸)」が見えてきました。静かで神秘的な浅瀬が続きます。所々に甌穴祭りに使うブルーシートが見えるのはご愛嬌です。
「逆柳の甌穴」に到着。看板の前が一つ目の「甌穴」(直径3m、深さ1.2m)です。この先に2つ目の甌穴(幅1.5m、深さ4m)が有るのですが、ここから先は岩をトラバースするか、水の中を行くしか行けません。
2つ目の「甌穴」です。有志の方で見に行きました。同行のアドバンスコープさんはカメラを担いで水の中を撮影に向かわれました。さすがプロと皆絶賛!
帰りは丸木橋の少ない山手の林道を帰りました。途中に「黄金塚」と言う塚が有ります。千方が財宝を埋めたところと伝えられ、誰かが掘り返したような跡がありました。
「萬松寺」の近くに逆柳の地名の言われが書いて有りました。「逆柳」は千方が投げた柳のムチが逆さに芽を出し大木となったと言われ、今の木は2代目だそうです。
「萬松寺」さんの長い参道の石段です。
「萬松寺」は小さなお寺ですが「卵石(雨乞石)」「市指定文化財 石造阿称陀如来立像」などいくつもの伝承や文化財をおもちです。「卵石(雨乞石)」は千方が血首井戸に放りこんだ敵の首の化身との言われ雨乞に使われます。
これが「卵石(雨乞石)です。「甌穴」を穿った石の一つで大切に籠に入れられています。
普段は無住でお堂は閉まっているのですが住職さんが我々のために明けておいてくださいました。さらに甌穴祭りで唱える法要を見せていただき、いろいろなお話を聞かせていただきました。さすが雨乞のお寺で和尚さんの唱えるとその時だけ雨が降りました。
お堂内でお弁当も食べさせていただいたので濡れずに済みました。有り難うございました。
朝の予報が外れ、昼からも雨が降らなかったので皆さん高尾地区市民センターまで歩いて帰られました。
- 藤原千方(ふじわらちかた)伝説
- 藤原千方将軍は金鬼、風鬼、水鬼、隠形鬼の四鬼を部下に従えた豪族で朝廷に抵抗し戦い打ち破りますが、紀朝雄により四鬼を奪われ最後は破れます。この時、次の和歌によって四鬼を調伏します。
- 「土も木も我が大王の国なるを、いづくか鬼のすみかなるらん」
- 多くは平安時代の話とされますが、太平記では奈良時代の事として登場します。高尾、家城に多くの伝承が残りますが、千方将軍の四鬼は岩手や熊野等の坂上田村麻呂伝説や浄瑠璃、歌舞伎にも登場します。
- 藤原千方の伝承地
- 【高尾】
- 萬松寺・卵石:千方が血首井戸に放りこんだ敵の首の化身との言い伝えがある。雨乞に使われる。
- 逆柳:千方が投げた柳のムチが逆さに芽を出し大木となったと言われる。今の木は2代目。
- 黄金塚:千方が財宝を埋めたところと伝えられる。
- 斗盛淵:千方将軍が一斗の酒をつぐことのできる大杯を洗ったとされる淵。
- 逆柳の甌穴:千方将軍が討ち取った敵の首をいれたといわれている。血首ヶ井戸とも言われる。
- 千方窟:山奥にある岩城で、千方将軍が朝廷軍と戦ったとされる場所。
- 猫岩:千方将軍が退治したこの地域の化け猫の化身とされる。
- 【霧生】
- 天照寺千方五輪塔:藤原千方の首塚との伝承を持つ。
- 千方の笛吹石:千方は城から落ちのびるとき、笛を吹いたといわれる大岩。
- 【名張】
- 赤岩尾神社:藤原千万が武運長久を祈願したとされる神社。
- 【家城】
- 瀬戸が淵・将軍岩:朝廷より官位を与ると、瀬戸ヶ渕に誘い出され、宴席で討ち取られ首は川を遡った。
- 太刀洗の滝:千方を討った太刀を洗った滝。
- 将軍山千方城:千方将軍の城跡。