9/23㈰ ”のぞいてみよう源氏物語の世界展” 記念講演会「 源氏物語がわかる平安和歌講座」が開催されました。

百人一首に登場する紫式部と同時代の歌人(大弐三位は紫式部の娘)

【日 時】 9月23日㊊ 14:00~
【場 所】 青山複合施設アオーネ
【講 師】 皇學館大学 助教 吉井 祥先生

記念講演会は青山複合施設アオーネの会議室いっぱいのお客さんに来ていただき、盛況の内に開催されました。
源氏物語には795首の和歌が出てきますが、それだけ和歌が重要な役割をはたしています。しかし和歌の恋愛やコミュニケーションにおける役割が分からないと物語の意味が分からなかったり、序詞や、掛け詞、引用が分からないと和歌の真意が読み取れません。

たとえば、男性は通常、女性の家に婿入りするのですが(当時は夫婦別姓です)、親が決めた相手で顔も知らなくても、プロポーズの和歌を贈り、女性は2〜3回はそれに切り返す和歌を帰します。その間に女性は相手の本気度や知性・将来性を推し量るそうです。

天皇の着る白い冠直衣(こうぶりのうし)

また、色に関する質問も出ました。当時の貴族は身分によって着るべき色が決められていました。
男性の正装は、平安初期には、階位が一位の場合が深紫、二位が中紫、三位が浅紫、四位が深緋、五位が浅緋、六位が深緑…となります。その上に、天皇の白、皇太子の黄丹がありました。ですから紫は上位の者が着る色だったのですが、『源氏物語』が書かれた時代では、一位から四位までの色がほぼ黒となり、五位が緋、六位が緑と変わっています。
黒になった理由として、公卿たちが深紫を志向したため、紫根が足りなくなり、黒の染料を混ぜるようになったからと言われています。
ですから、紫式部の時代、紫は身分の高い人が着る、憧れの色というイメージを当時の人々は持っていました。

源氏物語の中心人物に紫ゆかりの名前が多く(藤壷、若紫など)登場しますが、そういうイメージを伴っているのです。

信貴山縁起絵巻・延喜加持巻(複製)/殿上で黒い装束を着る高位の貴族。