「浜辺の四季~穐月明が描く海~」開催

2024/10/31 ㊍~ 12/20 ㊎火曜日休館

穐月明が幼少期を過ごした愛媛県西条市の実報寺は海の近くに有る大きなお寺でした。今回は幼少期の思い出や画家になる決意を紹介すると共に、今まで余り紹介してこなかった大きな海原の作品を紹介します。

今回は盆石や自身が採取した石も展示しました。

展示の冒頭、穐月明の故郷、愛媛県西条市の実報寺とすぐ近くに広がる瀬戸内の海を紹介しています。

「海辺を行く母子」「浜辺(仔犬と子供)」と自身が採取した石
「喧嘩両成敗」とその家

自身の幼い頃の懐かしい思い出や、画家を目指した駆け出しの頃のほろ苦くも熱い思いが伝わります。我が子や家族をモデルとしたかと思える作品もならびます。

「願いを持つ石」と木の根が絡まった盆石

「角のない小さな丸い石になるな。角の有る願いを持つ大きな石になれ」 西田天香
讃に書かれたこの言葉は画壇に所属せず、師に付かず、弟子をとらず、何者にも迎合しない。自分の美意識を貫き、自分の信じる絵を描く。画家を目指した己の矜持なのでしょう。

展示風景
「海辺の二躰佛」と海食洞の様な盆石

代表作の野の仏も背景が荒海となるだけでドラマチックになります。

展示風景
「渚」と盆石と貝殻

どこの浜辺でしょうか穏やかな海も描いています、寄せては返す波の音をいつまでも聞いていたくなります。

「不動三尊」「十一面観音菩薩(妙音観世音)」

荒波を背景とした仏画も多く描いています。「十一面観音菩薩」には観音経より
「観音菩薩の美しい仏の声は潮騒の音、彼の世間の音に勝る、その故に須らく常に念ずべし」と書かれています。「不動三尊」は弘法大師を救った波切不動でしょうか。

「弘法大師渡海図」と盆石と金銅仏

「弘法大師渡海図」、弘法大師空海は無名の長期留学僧として遣唐使船に乗りました。途中で嵐にあい大きく航路を逸れ福州長渓県に漂着しますが、苦難のすえ四ヶ月の後、都長安にたどり着きました。そして僅か三年で真言八祖の第七祖恵果から伝法の印信を受け日本に真言密教を伝えました。

今回は初出の物が多く、今までとは少し違う雰囲気の作品が並んでいます。