芭蕉翁生誕380年記念伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 芭蕉翁記念館合同新春の企画展は終了しました。
伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 新春の企画展
「絵が先か、俳句が先か」
令和6年1月13日(土)〜2月18日(日)
火曜日休館
芭蕉翁記念館企画展 新春の企画展
「俳句が先か、絵が先か」
令和6年1月6日(土)~3月10日(日)
穐月明作品を芭蕉の俳句と共に鑑賞する企画展を開催いたします。俳句から連想される光景と絵画から連想されるシチュエーションが響き合いどのような世界が見えてくるのか? お楽しみください。
あなたが鑑賞するのは「絵が先か、俳句が先か。」
企画展では「花」「生き物」「月」をテーマにした俳句や絵画作品を四季の順にご紹介しています。また、最後には、芭蕉の代表作『奥の細道』をテーマに構成しました。
※伊賀市ミュージアム青山讃頌舎では芭蕉の資料はパネル展示となります。
実物は芭蕉翁記念館でご覧下さい。
【二館合同企画】
2館目100 円割引
※期間中、伊賀市ミュージアム青山讃頌舎に入館していただくと、
大人一般1人につき芭蕉翁記念館の100 円割引観覧券(有効期間1月6日(土)~3月10日(日))
を差し上げます。
記念座談会「俳句が先か、絵が先か」
両館の学芸員がそれぞれの視点で今回の展示について語り合います。
【講師】 芭蕉翁記念館学芸員 髙井悠子
伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 学芸員 穐月大介
【日時】 1月14日(日) 13:30〜
【場所】 ハイトピア伊賀5階 大研修室
【定員】 100名
【申し込み先】 文化都市協会 0595-22-0511
申し込み開始 令和5年12月14日10時
※来場に際しては、公共交通機関でお越しいただくか、近隣の有料駐車場をご利用ください。
コラボ・ギャラリートーク1回目
【日 時】 1月21日(日) 13:30〜
【場 所】 伊賀市ミュージアム青山讃頌舎
【解 説】 学芸員 穐月大介
【ゲスト】 芭蕉翁記念館 学芸員 髙井悠子
【お問合せ】 青山ホール ☎ 0595 52 1109
*予約不要。参加は無料ですが入館料が必要です。
コラボ・ギャラリートーク2回目
【日 時】 2月10日(土) 13:30〜
【場 所】 芭蕉翁記念館
【解 説】 学芸員 髙井悠子
【ゲスト】 青山讃頌舎 学芸員 穐月大介
【お問合せ】芭蕉翁記念館 ☎ 0595-21-2219
芭蕉の気持ちになって連句を楽しむ会ー連句の実演と体験ー
画家穐月明が愛でた庭を茶室から眺めながら、
芭蕉も楽しんだ「連句」を紹介し、体験していただきます。
【日時】2月4日(日) 13:30〜
【場所】伊賀市ミュージアム青山讃頌舎 茶室
【講師】芭蕉翁記念館 学芸員 髙井悠子
【呈茶代】400円(抹茶・お菓子)
【定員】20名
要予約 青山ホール ☎0595-52-1109
お問合せ
(公財)伊賀市文化都市協会 ☎0595 22 0511
伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 受付 ☎0595 52 2100
松尾芭蕉 四時を友とす
松尾芭蕉(一六四四~一六九四)は、現在の伊賀市で生まれ育ち、全国を旅して俳句を作った詩人です。ふるさと伊賀には家族や門人がいて、芭蕉は生涯伊賀を大切にしてきました。
芭蕉が残した言葉はたくさん知られていますが、そのうちの一つに「四時を友とす」というものがあります。芭蕉の紀行文『笈の小文』の冒頭に書かれる文章のなかで、「四時」つまり、四季に親しんで俳句を作るのがよい、と書かれています。
穐月明 四季を愛した画家
穐月明(一九二九〜二〇一七)が育った故郷は山と海に囲まれた自然豊かなところでした。文人に憧れ水墨画を始め自分の画室を持てるようになると、無為自然な生き方を求め伊賀に移り住みました。そして現役最後となった個展「流水頌歌」の挨拶文の中で、
四季の中の山と、川の流れと、海。其処に生きる様々なもの、本当に美しい。それを賛える水墨画を共感して観て下されば幸甚です。
と語っている通り四季を通じて花や風景をたくさん描き残しました。
絵の讃に好んで引用した和歌の一つに道元禅師の「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえて、冷しかりけり」があります。作者の自然に対する姿勢を表したものと言えるでしょう。
第一章 花を愛でる
木(こ)のもとに汁もなますも桜哉
芭蕉筆「木のもとに」発句短冊
元禄三年(一六九〇)、四十七歳の時帰郷した芭蕉が、伊賀の門人に花見に招かれて詠んだ句。芭蕉の晩年の境地「かるみ」を表した句としても有名です。花見のご馳走に桜の花びらが降り積もりるという、ちょっとユーモラスな句ですが、わかる人には西行の「木のもとに旅寝をすれば芳野山花のふすまを被する春風」の和歌を想起ささせます。
穐月明作 桜雀
目の前に広がる満開の枝垂れ桜に蝶と雀がやってきた愛らしい絵です。しかし雀は蝶を捕まえようとしていますし、桜もやがて散ります。全ては移り変わりますが、それ故に世界は美しいという「仏教的無常感」が描かれてもいます。
第二章 生き物と遊ぶ
此(この)梅に牛も初音と鳴(なき)つべし
延宝四年(一六七六)、芭蕉が三十三歳のときの句。梅といえば鴬ですが、ここでは天神に縁のある牛が詠まれています。春を告げるものとして、鴬だけでなく牛まで春を寿いでいるようです。
穐月明作 梅牛図
黒牛の存在感が際立ちます。その表情はおだやかで、紅梅の枝とあわせのどかな春の雰囲気が満ちています。口元を見るとどうやら牛は鳴いているようです。
びいと啼(なく)尻声(しりごえ)かなし 夜の鹿
元禄七年(一六九四)、芭蕉が五十一歳のとき、奈良の猿沢の池のほとりで詠んだ句です。
鹿は秋の季語。秋の夜に響きわたるつま恋の声が悲し気であることから、和歌や俳句に詠まれてきました。
穐月明作 鹿御堂
奈良興福寺の北円堂でしょうか。牡鹿と雌鹿がお堂の仏さまに見守られているようです。句では会えなかった雌鹿に絵では会えたようです。
第三章 月を仰ぐ
寺に寝てまこと顔なる月見哉
貞享四年(一六八七)、芭蕉が四十四歳のとき、「鹿島詣」の旅で根本寺を訪れた際の句。鹿島で中秋の名月を愛でるために企画した旅で、敬虔な気持ちで明るく澄んだ月を仰いでいます。月は秋の季語。古来、和歌においても、俳句においても、春の桜とともに大切にされてきました。
穐月明作 清光鐘声
この絵は穐月明が若い時に下宿し結婚し画家としてスタートを切った醍醐寺をイメージしたと思われます。寺に生まれ寺で育ち寺で画家となったので、僧侶の1日を知り尽くして描かれています。
第四章 穐月明作品でたどる「奥の細道」
荒海や佐渡によこたう天河
七月、七夕のころ日本海を見て詠んだ句。この句をしたためた芭蕉自筆の作品が複数知られ、当時から人々に愛された句であったことがわかります。荒々しい日本海とその空全体に広がる天の川を詠みこむ、スケールの大きな作品となっています。
穐月明作 波濤・佐渡冬図
穐月明が地名をタイトルに入れることは稀ですが、この絵には佐渡とあります。佐渡といえば荒海、芭蕉の句が頭にあったことでしょう。まだ40代の作品でこの頃はほぼ現地で完成させているかもしれません。
芭蕉直筆『奥の細道』複製本
松尾芭蕉文・与謝蕪村絵『奥の細道絵巻』など関連図書の展示
芭蕉翁記念館企画展 「俳句が先か、絵が先か」
令和6年1月6日(土)~3月10日(日)
二〇二四年は、伊賀市が生んだ俳聖松尾芭蕉が生まれて380年という記念の年です。芭蕉のふるさと伊賀市から、芭蕉の俳句と現代絵画を合わせて鑑賞する企画展を開催します。上野公園内にある芭蕉翁記念館と青山の伊賀市ミュージアム青山讃頌舎で連携し、芭蕉の作品と穐月明作品の世界観に、二施設でともに触れることができる新しい試みです。
あなたが鑑賞するのは「俳句が先か、絵が先か」。
※芭蕉翁記念館では穐月明作品はパネル展示となります。
実物は伊賀市ミュージアム青山讃頌舎でご覧下さい。
芭蕉翁記念館
【会場】〒518-0873 三重県伊賀市上野丸之内一一七ー一三(上野公園内)
【時間】8:30〜17:00(入館は16:30まで)
【問い合わせ】0595-21-2219
大人一般300 円
団体(20名以上)200 円
障がい者(本人のみ)無料
子供一般100円
団体(20名以上)60 円
障がい者(本人のみ)
2館目100 円割引
※期間中、芭蕉翁記念館に入館していただくと、
大人一般1人につき伊賀市ミュージアム
青山讃頌舎の100 円割引観覧券(有効期間1/13-2/18)
を差し上げます。
主催](公財)伊賀市文化都市協会(指定管理者)
[共催]伊賀市
[後援]伊賀市教育委員会、名張市教育委員会
[協力](一財)東洋文化資料館靑山讃頌舎
芭蕉翁記念館