宮治昭先生の基調講演「仏像のふるさと”ガンダーラ美術をたずねて”ー穐月コレクションを中心にー」が開催されました。

5月 14日㊏ 伊賀市の青山ホールで 宮治 昭先生をお招きし基調講演を開催致しました。
宮治 昭先生はガンダーラ美術の第一人者にして初代龍谷ミュージアム館長です。

現在開催中(4/22〜5/22)の「穐月明の愛した仏ー龍谷ミュージアムのガンダーラ仏 里帰り」展出品作品の背景を詳しくお話しいただき、参加いただいた方々も熱心に聞いてくださいました。その中には急遽来場された岡本 栄伊賀市長もおられ、挨拶や質問もして頂き、大変充実した講演会となりました。

【講演の概略】
龍谷ミュージアム設立時に「穐月コレクション」が寄贈されるに至った経緯から始まり、ガンダーラ地域の地図上の位置、世界史上の歴史的役割、ストゥーパの成立と寺院の形成、仏像とレリーフの変遷などをわかりやすく解説してくださり、その後映像で展示中の穐月コレクション等ガンダーラ美術を画面に写し像の意味を解説してくださいました。

ガンダーラ地域は世界で初めて仏像が作られたところです。ガンダーラ地域のペシャワールは中央アジア〜北インドを支配したクシャーナ朝の首都でした。東西交通の要にお当たり色々な文明が集まるローマに匹敵する大都市だったようです。そこで作られたガンダーラ仏にはインド、ペルシャ、ギリシャなどの要素が取り入れられ日本の仏像にも伝わっています。

仏伝レリーフ「草刈人の布施」

仏陀になる禅定に向かう釈迦です。上半分はインド風の欄干、下の左右の柱はギリシャ風です。左の人物はは釈迦に禅定のための下に敷く草を布施しています。真中がそれを受け取っている釈迦、左は執金剛神(仁王)ギリシャのヘラクレスが起源と言われます。

霧生 鹿島神社/南北朝時代・宝篋印塔

伊賀には古い文化財が多く残りますがこの宝篋印塔にも梵字が彫られています。これもインドの神聖文字です。

美しい霧生の集落 鹿島神社

宮治 昭先生 プロフィール

1945年、静岡県沼津市生まれ。1968年、名古屋大学文学部(美学美術史専攻)卒業、文学博士。弘前大学助教授、名古屋大学教授、静岡県立美術館館長、龍谷大学教授、龍谷ミュージアム館長を経て、現在、名古屋大学・龍谷大学 名誉教授。
1969年よりインド・パキスタン・アフガニスタン・中国の仏教美術の調査を続ける。専門はインド・中央アジア美術史、仏教美術史。
国華特別賞、中日文化賞、中村元東方学術賞を受賞。
著書に『インド美術史』『涅槃と弥勒の図像学』(いづれも吉川弘文館)、『ガンダーラ仏の不思議』(講談社選書メチエ)、『バーミヤーン遥かなり』(NHKブックス)、『インド仏教美術史論』(中央公論美術出版)、『仏像学入門ーほとけたちのルーツを探る』『仏像を読み解く』(春秋社)など。