伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 春の通常展「あおやまのうた/青山讃頌—やさしい水墨画・あきづきあきら傑作選—」は終了しました。
令和5年 4/21㊎~5/21㊐ 火曜休館
当館所蔵の千点近い穐月 明作品の中から特に優れた物や過去の展覧会で好評だった作品を展示いたします。
穐月絵画は抜きん出た教養を基礎とする精神性や他に類をみない表現力を有しています。しかしその一番の魅力はその優しさや可愛らしさではないでしょうか。
自然への敬意、生き物に対する愛情、仏教への憧れを筆と墨にのせ、優しい眼差しで描かれた作品ばかりです。
本展では自身が収集し愛した古美術と共に展示いたします。当館の誇る名品の数々をご堪能ください。
♯ギャラリートーク「穐月絵画の魅力」
時に優しく、時に可愛く、時に深淵な穐月絵画には様々な工夫や仕掛けがあります。
日 時4/29㊏・5/14㊐、13:30 ~
解 説 学芸員 穐月大介
◎先着20名・予約不要
♭ハイキング「あおやま川上湖をめぐる」
新しくできた「あおやま川上湖」を一周(10km)します。
春の日に川上ダムから種生を抜け色々なものを見つけながら歩きます。
お弁当持参で少しロングコースを楽しみましょう。
日 時 5/4㊍祭日 10:00〜15:00頃
集 合 10:00 伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 受付
持 物 歩きやすい靴、ザック
雨具、飲物、弁当
定 員 20名
◎要予約・300円(観覧券込み)
【申込受付/お問合せ】 青山ホール ☎0595 52 1109にて受付
「追想 夜汽車」
故郷へ帰る夜行列車なのでしょう。明は母親から画家になるなら途中で帰ってくるなと言われていたそうです。背景の山は石鎚山のようですが、こんなふうに見えるところは有りません。思い出の中の風景なのです。汽車の窓に映る人影に望郷の想いが滲みます。
白磁染め付け壺
美しい染付け壺ですが、ひょうきんな虎と鳥が描いてあります。明は素朴なものが好きでした。
「思い出 喧嘩両成敗」
手前左の泣いているのが明本人、毅然として立っているのが姉です。障子の影は右端が祖母、左端が母、真ん中の2つの影は上の兄と戦争で亡くなった下の兄です。父親が亡くなり母親は子供達を厳しく育てました。画家が10歳くらいの時の個人的な思い出ですが、見たものに懐かしさを感じさせる作品です。
「帰依法境」
朝霧がかかった寺の境内は凛とした空気が漂っています。小僧さんが掃除をしていますがこれも修行、釈迦の弟子チューラ・パンタカは釈迦にひたすら掃除をすることを勧められ悟りに到達します。
しかし、よく見ると上を見上げてカラスを睨んでいるようです。糞でも落とされたのでしょうか。高邁なテーマの絵にちょっとユーモラスで親しみやすいモチーフを入れるのが作者らしいところです。
タイトルは仏教の誓いの言葉「三竟」の一節「帰依法竟」からのようですが場所を表す境を使っています。
「弥勒菩薩」
五六億七千万年の瞑想の後、この世に降り立った弥勒菩薩の様に、野葡萄の下で木漏れ日に照らされた弥勒石仏です。神々しさの中に親しみやすい優しさで語りかけてきます。
穐月明旧蔵・靑山讃頌舎蔵
王子形水瓶
観音菩薩などが持ってる水入れです。中の冷たい水は飲んでも減らないそうです。
「鉢中の白椿」
鉢、水、椿の質感を墨一色で描き切り、椿の美しさを本物以上に表現しています。しかし、椿は摘んできた枝をそのまま投げ入れたように葉が裏を向いたままです。作為を嫌い椿もそのままが一番美しい、ということでしょう。
鉢は坪島土平さんの作です。
「雪の寺」
降り頻る牡丹雪の中僧侶たちは朝のお勤めに向かいます。墨一色の雪景色の中に塔だけが赤く浮かんで足の冷たささえ感じます。石段を登る先頭の若い僧は後ろの老僧を気遣っています。また、一番後ろの僧は空を見上げ心配そう。人物を見ていくと物語があるようです。
大和郡山の松尾寺がモデルです。
「鉢中の天」
ありふれた団子鉢に満たされた透明な水に椿が咲き、金魚が泳いでいます。讃は道元の歌「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり」ですが、最後を”雪ありてたのしかりけり”としています。道元の悟りの境地を歌った和歌を自分の気持ちに変えています。
「鉢中の天」はどんな小さな所にも仏の世界は有るという意味を込めています。
「御堂讃」
山寺のお堂で朝のお勤めをしていると、森の動物たちがやってきて共に花をささげます。鳥や獣たちにも敬愛された釈迦の伝説を思い起こさせます。人も獣も仏の前では平等なのです。可愛らしくも心温まる作品です。
讃は真言宗の「三摩耶戒」です。
南インド・紀元前後
穐月明旧蔵・靑山讃頌舎蔵
アラマバティー仏足石
インドでは紀元前後まで仏像は作られず、足跡などで表されました。これは紀元前後・南インドの仏足石です。釈迦を表した物でしょう。
「母仔猫」
凛々しい母猫と無邪気な仔猫です。技法やテーマはさておき、の猫愛溢れる作品です。