伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 秋の通常展 「西国三十三所の寺と仏」は終了しました
令和4年 10/21㊎~12/25㊐
10:00~16:30(入館は16:00)火曜日休館
西国三十三所の寺と仏の制作
穐月 明は五十代後半より西国三十三所と四国八十八箇所の制作を依頼されます。長い画業の中でも大きな仕事であった様で多くの資料が残されています。
西国三十三所と番外札所・霊場を自身で一つ一つ巡り、寺と仏像をスケッチし資料や写真を撮り作成していった様です。
この度これらの作品のうち二十点を入手、残されていた取材時のスケッチとともに公開いたします。寺院の空気感まで伝わる作品には参拝の人々が生き生きと描かれているのも見所です。
作品が制作された五十代後半から六十代にかけては明の最も充実していた時期であり、また胃がんの大手術を受け死を覚悟した時期とも重なります。穐月芸術の一つの転換点となった作品群ではないでしょうか。
(一財)東洋文化資料館 靑山讃頌舎 理事長 穐月大介
観覧料 一般300円高校生以下無料
住 所 伊賀市 ミュージアム青山讃頌舎 〒518-0221三重県伊賀市別府718-3
穐月明の西国三十三所にはおしゃまな女の子とお爺さんとお婆さんの巡礼者が登場します。この3人が夏の日差しの中や冬の木枯らしの中を皆様と一緒に巡ります。
穐月明の水墨画は他に類を見ないその独自の手法で日差しの眩しさ、雪の湿っぽさ、季節の空気感まで感じさせてくれます。
▶ワークショップ・「秋の木の実をいただく」
日 時 10/22㊏ 10:00(ミュージアム受付集合)〜14時頃終了
*伊賀の野山には家のすぐ近くにたくさんの山菜や木の実が実っています。少しの知識があれば誰でも収穫して美味しくいただけます。アケビ、椎の実、ムカゴなどを一緒に調理していただきます。
定 員 10名 参加費 500円(食材費等) ◎要予約
指 導 東洋文化資料館 靑山讃頌舎 スタッフ
持ち物 軍手等作業用手袋(大村神社にてバーベキュー)
▶ 現地案内「常福寺を訪ねる」
日 時 11/6㊐ 13:00城之越遺跡集合〜終了16:30
*日本最古の庭園遺跡として知られる城之越遺跡を見学後、常福寺を訪問、重文 五大明王拝観と西国三十三所・四国八十八箇所の石仏を巡るウォーキングツアーです。常福寺裏山の石仏群は江戸期の物ですが大変立派です。
場 所 城之越遺跡(伊賀鉄道比土駅より8分)〜常福寺
定 員 10名 参加費 1000円(拝観料等) ◎要予約
案 内 学芸員 穐月大介、靑山讃頌舎 スタッフ
▶ 呈茶「紅葉の茶室でお茶をいただく」
日 時 11/12㊏・13㊐・19㊏・20㊐
①10:00、②11:00、③13:00、④14:00
*ミュージアム付属の茶室「聴樹庵」の庭はいろは紅葉が毎年美しく紅葉します。紅葉の下で抹茶とお菓子をお召し上がりください。
定 員 各回12名 呈茶代 400円 ◎要予約
▶学芸員によるギャラリートーク
日 時 12/4㊐・11㊐ 13:30〜 ◎先着20名 無料
*残された画家のスケッチブックから。解説 学芸員
[お申込み受付]電話0595-52-1109で先着順に受付
西国三十三所
西国三十三所は閻魔大王が徳道上人に示し花山法皇が再興したとする伝説を持つ巡礼道です。平安時代には貴族や山伏などが、やがて中世になると次第に庶民にまで広がり巡礼路も確立していき今日に至るようです。
第十番 三室戸寺
宇治の寺院。
本尊は千手観音とされますが二臂の秘仏です。寺伝に「千手観世音が清淵の中から出現されたが、抱き上げてみると、一尺二寸の二臂の尊像と化していた」と有ります。寺は光仁、花山、白河三帝の離宮となりました。
作成にあたっては、霊場を自身で一つ一つ巡り、寺と仏像をスケッチし資料や写真を撮り作成していった様です。
明は大きな和紙をスケッチブックにして筆でスケッチするのを好みました。
第十二番正法寺
滋賀県大津の寺院。
通称岩間寺。ぼけ封じ、雷除け、汗かき観音さんで知られています。芭蕉の有名な句「古池や蛙飛び込む水の音」の「古池」がこの池とされています
第十五番観音寺
京都市内の寺院。
平安時代末、後白河法皇は本尊を深く信仰し、霊験により持病の頭痛が平癒したことから、本寺に「新那智山・今熊野」の名称を与えられました。後白河上皇は当寺に葬られました。
第十七番 六波羅蜜寺
京都市内の寺院。
平安時代、空也上人が京都に疫病が大流行した時、自ら刻んだ十一面観音像を、大八車に載せて引きながら歩き、念仏を唱え、病人に薬茶をふるまって多くの人を救ったと伝えられています。本尊十一面観音は秘仏で国宝です。
第三十三番 華厳寺
三十三札所唯一の近畿外の寺院で満願所です。
本尊の十一面観音立像 は厳重な秘仏です。
桓武天皇が勅願寺とし、醍醐天皇が「「華厳寺」の扁額を下賜、朱雀天皇が鎮護国家の道場として、花山法皇が第三十三番札所と定めたとされます。
番外 善光寺
長野市の無宗派単立寺院。
本尊は日本最古と伝わる一光三尊阿弥陀如来で、絶対秘仏です。西国三十三所の観音巡礼を満願した後は、古くからここに御礼参りの習慣があります。
ことわざ「牛に引かれて善光寺参り」はよく知られています。
西国三十三所第十三 石山寺
西国三十三所のシリーズとしてではなく描いた作品です、雪の降り積もった大津・石山寺の山門です。
本尊は如意輪観音で西国三十三所第十三番です。本堂は石山寺硅灰石という巨大な岩盤の上に建ち寺名の由来ともなっています。
紫式部はここで源氏物語の着想を得たという伝承があります。
御寄贈いただいた穐月作品
当法人に色々な方から御寄贈を受けました。皆様の御厚志に厚く感謝いたします。
御寄贈いただきました作品の中には美大時代に描いた油絵や、水墨画を始めたばかりの頃の作品も含まれます。これらの作品には既に後々まで現れる様々な要素が見られます。
ランプ
作品の裏書から32歳の作で、明自身が37歳の時天野家に寄贈したことがわかります。
この年、妻の父で居候させてもらっていた醍醐寺の天野僧正が亡くなっています。
ずっと天野家に掛けてあった物で、明にとっても何かを初めて掴めた作品だったのでしょうか。リアルな昆虫は晩年まで登場します。
睡蓮(油彩)
明の実家・実報寺(愛媛県西条市)の池の睡蓮を美大生の時、里帰りして描いたものです。結婚直前昭和二十九年七月(25歳)の裏書きが有ります。
故郷への思いは消えなかった様ですが、母親からは画家になるなら途中で帰ってくるなと言われていたそうです。